スマホアプリのデザイン外注費は、一般的に小規模な改修で30万〜80万円、新規アプリで80万〜250万円、UX調査やデザインシステムまで含む案件で200万〜500万円以上が目安です。金額は画面数だけでなく、画面状態、調査、試作、開発連携の範囲で決まるため、成果物と修正回数をそろえて見積もりを比較することが重要です。
アプリデザイン外注の費用相場
アプリデザインの費用を判断するときは、UIとUXを分けて考えることが大切です。UI(=画面の見た目やボタンなどの操作部品)は画面として確認できますが、UX(=アプリを知ってから目的を達成するまでの利用体験)は、利用者調査や操作フローの設計も含みます。
見た目を整えるUIデザインだけを依頼する場合と、利用者の課題を調べて機能や導線から設計する場合では、必要な人員と期間が異なります。一般的な費用と期間の目安は次のとおりです。
| 依頼規模 | 主な内容 | 費用の目安 | 期間の目安 |
|---|---|---|---|
| 一部画面の改修 | 5〜10画面程度の見直し、既存デザインの調整 | 30万〜80万円 | 3〜6週間 |
| 小規模な新規アプリ | 画面構成、ワイヤーフレーム、10〜20画面程度のUI | 60万〜150万円 | 1〜2.5か月 |
| 標準的な新規アプリ | UX設計、20〜40画面程度のUI、プロトタイプ、開発連携 | 80万〜250万円 | 1.5〜3.5か月 |
| 調査を伴う本格設計 | 利用者調査、複数案の検証、UI、ユーザーテスト | 200万〜500万円以上 | 3〜6か月以上 |
| 大規模・複数権限のアプリ | 多数の機能、複数の利用者区分、デザインシステム構築 | 300万〜800万円以上 | 4〜8か月以上 |
上記は一般的な目安で、原則としてアプリのプログラム開発費、サーバー開発費、消費税を含みません。ロゴ制作、キャラクター、写真撮影、イラスト、アニメーション、ストア掲載画像なども別料金になる場合があります。
工程別の費用目安
アプリデザインは複数の工程に分かれます。見積書に「デザイン一式」としか書かれていない場合は、どこまで含まれるかを確認してください。
| 工程 | 内容 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| 利用者・競合調査 | 利用者へのヒアリング、競合アプリの整理 | 30万〜150万円 |
| 情報設計・操作フロー | 機能の配置、画面遷移、目的達成までの流れを設計 | 20万〜80万円 |
| ワイヤーフレーム | 色や装飾を付ける前の画面構成図を作成 | 20万〜100万円 |
| UIデザイン | 色、文字、余白、ボタン、アイコンなどを設計 | 50万〜200万円 |
| プロトタイプ | 実際の操作に近い試作品を作成 | 20万〜80万円 |
| デザインシステム | 共通部品と使用ルールを体系化 | 30万〜150万円以上 |
| ユーザーテスト | 想定利用者に操作してもらい課題を確認 | 20万〜80万円程度/回 |
| 開発連携・実装確認 | 開発者への説明、質問対応、完成画面の確認 | 20万〜100万円以上 |
工程別の金額は単純に足し合わせるものではありません。一括発注では作業を兼ねられるため、個別に依頼するより総額が抑えられることがあります。一方、調査対象者の募集、複数回のテスト、多言語対応などがあると追加費用が発生します。
デザイン費用を左右する7つの要因
費用に最も影響するのは、表面上の画面数ではなく「設計し、確認すべきパターンの数」です。同じ20画面でも、閲覧中心のアプリと、入力・決済・予約変更などを伴うアプリでは工数が異なります。
1. 画面数と画面状態
発注者が数える「画面」と、デザイナーが制作する画面には差が生まれやすい点に注意が必要です。例えばログイン画面だけでも、通常表示、入力中、入力エラー、パスワード表示、通信中、認証失敗などの状態があります。
見積もり前に、少なくとも次の状態が必要か確認しましょう。
- 通常時
- 初回利用時
- データがない状態
- 読み込み中
- 入力エラー時
- 通信失敗時
- 権限が許可されていない状態
- 確認ダイアログや完了通知
- 有料会員と無料会員など、権限別の表示
すべてを別画面として課金するとは限りませんが、見積もり条件には明記する必要があります。
2. 要件の固まり具合
機能と業務ルールが曖昧な状態では、デザイン中に仕様を考える作業が増えます。これは単なる描画ではなく、要件定義(=作るものを決める工程)の一部です。
外注前に機能を整理しておくと、対象画面と優先順位が明確になります。具体的な整理方法は、機能一覧の作り方|システム開発の依頼準備も参考にしてください。
3. iOS・Androidへの対応範囲
iPhone向けのiOSとAndroidでは、戻る操作、権限確認、標準部品などの考え方が異なります。共通デザインを基本とする場合でも、OSごとの調整が必要です。
「両OSで完全に同じ見た目にする」のか、「各OSの一般的な操作に合わせる」のかを決めておきましょう。タブレット、折りたたみ端末、横向き表示まで対象にすると、確認するレイアウトが増えます。
4. UX調査と検証の深さ
利用者インタビューやユーザーテストを行う場合、調査設計、対象者の募集、実施、分析、改善に費用がかかります。ただし、予約、購入、投稿など事業上重要な操作があるアプリでは、開発後に大きく作り直すより、試作品の段階で検証した方が総費用を抑えられることがあります。
すべての画面を検証する必要はありません。新規登録、検索、申込、決済など重要な操作に絞る方法が現実的です。
5. ブランド表現と素材制作
既存のロゴ、色、書体、写真などを利用できれば、制作範囲を限定できます。一方、ブランドの方針から決める場合や、独自のイラスト、アイコン、アニメーションを多数制作する場合は費用が増えます。
有料フォント、写真、アイコンなどを使う場合は、アプリへの組み込みが許可されているか、継続的な利用料が発生するかも確認してください。
6. アクセシビリティと多言語対応
アクセシビリティ(=年齢や障害などにかかわらず使いやすくする考え方)へ対応する場合は、文字サイズ、色の差、読み上げ順序、タップ領域などを設計します。後から対応すると画面全体へ影響するため、最初から要件に含めた方が効率的です。
多言語化では翻訳費だけでなく、言語による文字数の違い、右から左へ読む言語、日付・通貨表示などの確認も必要です。
7. 開発会社との連携範囲
デザインデータを納品して終わる契約と、開発中の質問対応や実装後のデザイン確認まで含む契約では費用が異なります。アプリは端末サイズやデータ量によって表示が変化するため、実装確認を依頼範囲に含めるのが望ましいでしょう。
依頼前の準備と外注の進め方
アプリデザインの外注は、見た目の好みを伝えることから始めるのではなく、利用者と達成したい目的を整理することから始めます。発注時点ですべて決まっている必要はありませんが、決まっていることと提案してほしいことは区別してください。
依頼前に用意するチェックリスト
- アプリを作る事業上の目的
- 想定利用者と利用場面
- 利用者に完了してほしい主要な操作
- 必要な機能と優先順位
- 対象OS、スマートフォン、タブレットの範囲
- 新規制作か既存アプリの改修か
- 参考にしたいアプリと、参考にした理由
- 使用できるロゴ、色、画像などのブランド素材
- 希望する公開時期と予算上限
- 社内の決裁者と確認担当者
- デザイン後の開発を担当する会社
- 調査、試作、実装確認を依頼するか
参考アプリを共有するときは、「雰囲気がよい」だけでなく、「検索条件を変更しやすい」「初回登録の説明が短い」など、評価している部分を具体的に伝えます。他社のデザインをそのまま模倣する依頼は避けてください。
外注から納品までの6ステップ
-
目的と対象利用者を決める
売上、申込完了率、継続利用、業務時間短縮など、デザインで改善したい指標を整理します。 -
機能と主要な操作フローを整理する
利用者がアプリを開いてから目的を達成するまでの流れを確認します。例外処理や権限別の違いも洗い出します。 -
依頼範囲と成果物を決める
調査、ワイヤーフレーム、UI、プロトタイプ、デザインシステム、実装確認のうち、どこまで依頼するかを決めます。 -
複数社へ同じ条件で相談する
予算を隠して安い提案を待つより、上限や想定範囲を伝え、予算内で何を優先できるか提案してもらう方が比較しやすくなります。 -
段階ごとにレビューする
操作フロー、ワイヤーフレーム、UIの順で承認します。最後にまとめて確認すると、構成変更が全画面に波及しやすくなります。 -
開発へ引き継ぎ、実装後に確認する
Figma(=画面デザインや試作品を共同編集できるツール)などのデータ、画像素材、共通部品、表示ルールを開発者へ渡します。実機上で文字切れや操作性も確認します。
デザイン期間は開発日程と一体で考える
デザインが完成してから開発を始めると分かりやすい一方、公開時期が決まっている案件では、一部の画面から順番に開発へ渡すこともあります。ただし、設計が固まる前に並行作業を増やすと、手戻りが発生する可能性があります。
アプリ全体の納期は、デザインだけでなく、要件定義、開発、テスト、ストア審査を含めて決める必要があります。公開日から逆算する方法は、アプリ開発期間の目安|納期遅延を防ぐ発注方法で詳しく解説しています。
見積もりと外注先を比較するポイント
アプリデザインの見積もりは、総額だけでは比較できません。A社が100万円、B社が150万円でも、B社だけが利用者調査、プロトタイプ、実装確認を含んでいる可能性があります。まず前提条件をそろえ、そのうえで不要な工程を削れるか検討してください。
見積書で確認する項目
| 確認項目 | 確認したい内容 |
|---|---|
| 対象範囲 | 対象機能、主要画面、画面状態、OS、端末 |
| 設計工程 | 調査、操作フロー、ワイヤーフレームを含むか |
| 成果物 | 編集可能なデータ、画像、部品一覧、仕様説明 |
| 提案数 | 初期案を何案提示するか |
| 修正条件 | 修正回数、修正の定義、追加料金の単価 |
| レビュー | 定例会の回数、確認方法、議事録の有無 |
| ユーザーテスト | 対象人数、実施回数、募集費を含むか |
| 開発連携 | 開発者からの質問対応、実装後の確認を含むか |
| 素材費 | 写真、フォント、アイコンなどの購入費 |
| 権利関係 | 著作権、編集権限、第三者素材の利用条件 |
| 検収条件 | 何をもって納品完了とするか |
| 追加対応 | 範囲変更時の単価と承認手続き |
特に修正回数は、「2回まで」の数え方を確認してください。社内から出た複数の意見を1回にまとめて伝えれば1回なのか、画面ごとに数えるのかで運用が変わります。
固定価格と準委任の使い分け
デザイン外注には、範囲と金額を決める固定価格型と、準委任(=作業時間や専門性に対して支払う契約)があります。
| 契約方法 | 向いている状況 | 発注時の注意点 |
|---|---|---|
| 固定価格型 | 対象画面と成果物が明確 | 範囲外の修正条件を確認する |
| 準委任型 | 調査しながら改善案を探す | 月の稼働量、優先順位、報告方法を決める |
| 段階契約 | 最初に調査・試作し、その後に全体を制作 | 次工程へ進む判断基準を決める |
新規事業など要件が変わりやすい案件では、最初から全画面を固定価格で依頼するより、調査と主要画面の試作を先に契約し、検証後に残りの画面を見積もる方法があります。
外注先の見極めチェックリスト
- 自社と近い利用者層や業務領域の経験があるか
- 実績の見た目だけでなく、設計理由を説明できるか
- 利用者の課題と事業目的を質問してくれるか
- デザイナーと開発者が連携できる体制か
- iOSとAndroidの操作上の違いを理解しているか
- エラーやデータなしなど通常時以外も設計するか
- アクセシビリティへの配慮を提案できるか
- 進捗、課題、変更点を定期的に共有するか
- 編集可能なデザインデータを納品するか
- 公開後の改善や追加画面にも対応できるか
発注のご相談を受ける開発会社の立場では、ポートフォリオの美しさだけでなく、「なぜこの操作にしたのか」「実装上の制約が出たときにどう調整するか」を確認することをおすすめします。アプリは作品ではなく、利用者が目的を達成し、事業成果につなげるための手段だからです。
依頼範囲の整理からデザイン・開発まで一貫して相談したい場合は、開発のご相談はこちらからお問い合わせください。
よくある失敗と回避策
画面数だけで最安値を選ぶ
エラー表示や権限別画面が見積もりから漏れ、後から追加費用が発生します。画面一覧に状態と操作を記載して比較してください。
社内の確認者が多く、方針が何度も変わる
営業、経営、開発から異なる意見が個別に届くと、デザインがまとまりません。発注者側の窓口と最終決裁者を決め、意見を集約して返します。
見た目の完成後に開発できないと分かる
端末機能や外部サービスの制約を確認せずに設計すると、作り直しが必要になります。開発会社を早い段階からレビューへ参加させてください。
編集可能なデータを受け取っていない
画像だけの納品では、追加画面や文言変更のたびに元の会社へ依頼する必要があります。元データ、使用素材、共通部品、権限の引き渡しを契約に記載します。
試作品を関係者だけで確認する
社内では理解できても、初めて使う利用者が迷う場合があります。重要な操作だけでも、想定利用者に近い人へ試してもらうことが有効です。
まとめ
- アプリデザインの外注費は、小規模改修で30万〜80万円、新規アプリで80万〜250万円、本格的なUX調査を含む場合は200万〜500万円以上が一般的な目安です
- 費用は主要画面数だけでなく、エラー、読み込み中、権限別表示などの画面状態によって変わります
- 見積もり前に、目的、想定利用者、機能、対象OS、成果物、修正回数、開発連携の範囲を整理してください
- 見積書は総額ではなく、調査、ワイヤーフレーム、UI、試作、実装確認などの範囲をそろえて比較します
- 外注先は見た目の実績だけでなく、設計理由、利用者理解、開発との連携方法まで確認することが重要です
- 要件が変わりやすい場合は、主要画面の試作と検証を先に行い、段階的に契約する方法も有効です
よくある質問
アプリのデザイン会社と開発会社は分けて依頼できますか?
可能です。ただし、デザインの実現可否や仕様変更の責任分界が曖昧になりやすいため、使用するデザインデータ、質問窓口、実装確認の担当者、追加費用の扱いを事前に決めてください。発注者側に技術担当者がいない場合は、デザインと開発を一括で管理できる会社へ依頼する方法が進めやすいでしょう。
アプリデザインの画面数はどのように数えますか?
見た目が異なる主要画面だけでなく、入力エラー、データなし、読み込み中、権限未許可、通信失敗、ダイアログなどの状態も数えます。見積もり時には画面数だけを伝えず、各画面で必要な状態と利用者の操作を画面一覧に記載することが重要です。
ワイヤーフレームだけを外注することはできますか?
可能です。要件が固まっておらず、まず画面構成や操作の流れを検証したい場合に適しています。ただし、ワイヤーフレームを誰がUIデザインや開発仕様へ落とし込むのかを決め、納品形式と引き継ぎ方法まで依頼範囲に含めてください。
既存アプリのリデザインは新規デザインより安くなりますか?
必ずしも安くなるとは限りません。既存画面や利用データを活用できる一方、現行仕様の調査、既存利用者への配慮、段階的な移行、古い機能との整合確認が必要です。見た目だけの変更か、操作フローや機能構成まで見直すかで費用は大きく変わります。